現在、このGVWという世界を構成するにあたって欠かせないのがニューロノイドという存在だ。
ニューロノイドとはどう人々に受け入れられているのか?
あらゆる人々に取材を申し込んでみることにした。
Q.「貴方はニューロノイドについてどう思いますか?」
◆そうねぇ。この前フォーゲル型とユアン型を購入してみたのですけれど、ちょっと小生意気な可愛い子と誠実な青年にかしずかれてハーレム気分を楽しめるのがたまらないわ。
(テンのコートを来た40代婦人。高級百貨店にて)
◆え、こんな時間になにをしてるかって?……見てわかるだろうぅ、のんだくれってるんだよ。(取材者に酒臭い息を吐きかける)ちっ、おまえがニューロノイドなんて名前出すから白けちまったぜ。……作業ロボットやらニューロノイドが全部オレの仕事を奪っちまった。あんな出来損ないの人間モドキにオレは負けたのよ!
……何も出来ない貧乏人はこうやって酒でも飲んで天使の迎えが来てくれるのを待ってるってわけさ。
(酒瓶片手に倒れていた推定30代男。廃棄街にて)
◆ニューロノイドについてですか?それでしたら私どもの子会社で開発した新しいニューロノイドについてでよろしければ……。(その後、1時間促販トークが続く)それではこの資料を……。あ、よろしければこちらのトレーサーのほうも(以下略)
(商魂たくましい神鋼重工社員)
◆彼らは存在そのものが神への冒涜であり倫理に反しているのである。故に我々は自然への回帰をテーマとして悪しき存在を排除すべきであると信じている。
(GloenBled幹部。同組織集会場にて)
◆この顔はどうしたのかって?昨日の夜にカミさんに「ワタシとニューロノイド、どっちが綺麗?」っていわたのさ。「そりゃおまえ、ニューロノイドに決まってるだろ」って言ったら、こうなったわけさ。
(顔面ボコボコの正直者)
◆それって人に人ってどう思うのかって尋ねているようなものですよね。困ったなぁ……え、どういうことかって?あはは、今のは聞かなかったことにしてください。
(GVW大学の女学生。キャンパスにて)
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すでにGVW世界に溶け込んでいるニューロノイド達。
しかしその存在は一部の人間に愛されながらも多くの人間に忌避されていた。
かつては民族間の対立によって生じていた問題の多くはそのまま人とニューロノイドの確執へ変容していた。
人にしかできなかった細やかな仕事もニューロノイドは人と同等以上の精度でこなすことができた為、雇用問題が生じ始めていたのである。失業率は25%を超えており、暴動が置きかねない事態になったこともあった(後にニューロノイド雇用制限法の制定によって収まりつつあったが、活火山のようにこの問題は常に煮えたぎっている)
更に人に扮した謎の存在も少しずつ表に表れ始めていたが、コールマン首相が真実の一旦を語る時まで多くの人類がそのことに全く気付いていなかった。
――貴方の隣にいるのは誰ですか?