どうしてもガンナーの仕事ぶりがみたいと、俺――ヨネヤマはHHが常時うろついている辺境地区取材に同行させてくれそうな人を探していた。
そこで、いろいろ複雑な経緯があって協力してくれることになったM・B氏とC・B氏(この両者は兄弟らしい。後にC・Bは俺の新聞社でバイトすることになるのだから因果なものだ)の戦闘ぶりをハンディカム片手に録画させてもらうことにした。
トラックの後ろには巧妙に偽装してトレーサーを乗せてある。協力者の事情であまりトレーサーを所持していることがバレては困るのだ。
寂れた辺境には冷たい殺意が俺の肌を撫でるように漂っていた。俺は思わず両手で自らの身体を――まるで女性がするかのような仕草で抱きすくめた。
自らを乗せてきた大型トラックを潰さないように、協力者のトレーサーは大きな身体に似合わぬ繊細な動きで起き上がった。熱の入ったサイバーメック社製ケルベロスは露骨な殺気に怯むことなく、姿を現したバグどもと対峙した。
記録映像では見たことあるが、ケルベロスというのは巨体の割に最高級の機動性を兼ね備えたトレーサーである。ケルベロスが軽やかに踊る度、俺は地面のほうが壊れないか心配したほどだ。
余裕を見せていたM氏だったが、いきなりこちらを向いて人差し指をちょいちょいと振る。すると次の瞬間に、ケルベロスは3体のバグに囲まれていた。――さすがにこれはまずくないか?と心配になる。
ライフルで前方のバグを威嚇して追い討ちをかけるようにミサイルを発射するケルベロス。だが真後ろのバグはライフルを向けて発射しようとしている。
しかし、ここからが彼の曲芸の見せ場だった。
追い討ちをかけて放ったように見えたミサイルは、妙な軌道で真後ろのバグに命中したのである。
その時の映像を(画像が荒いのはハンディカムで取ったからだ)ここに残しておこう。
(記録映像)751KB
熟練したガンナーともなればあんな真似もできるのかとM氏に聞くと、彼は「あれは弟(C氏)が入れた曲芸のひとつですよ。ヨネヤマさんの記事を派手にしようとやってみたんですけど如何でしたか?」とおどけていた。
全く、この連中――ガンナーに共通する肝の太さは想像以上だ。
こいつらの記事がメシの種になるのだから、俺にとってはありがたい話だった――。
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なんとなく面白い映像が取れたので試しにアップしてみました(´∇`)
それだけじゃアレなので、練習も兼ねて適当にストーリーも付随。
次は納涼漢達の花火祭り映像か。新聞社なのに映像記録が増えてきたヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ