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RGタイムズ紙 / スポーツの秋?食欲の秋?読書の秋?……それともRGの秋?

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RGタイムズとヨネヤマの危機 その15 全てを捧げしものへ②

RGタイムズとヨネヤマの危機
その15
「全てを捧げしものへ ②」

@1の予定でしたが、35KB超えたので分けました。
いちおう最後まで執筆済み。エピローグだけ調整中。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 街角にある雑貨屋があるかと思えば、隣には高層テナントビルが建っている――そんな混沌とした光景はこの街においては日常だった。
 GVWにおいて明確ではないものの、住んでいる地方によって地上世界時代の民族的区切りの名残は各地に散在している。例えばサイバーメックが支配する地域では建物の造りは都市全体に調和するように秩序を持って建立されていた。サイバーメック衛星都市のひとつ、ゴーストタウンと呼ばれる過疎地帯でも同様の傾向が見られた為に、廃墟ではあるがまるで何かの遺跡のような面持ちがあった。
 そういう風に神鋼重工が支配圏を確立している地方ではサイバーメックとは真逆に一切建築物に街としての統一性はなく、真逆に混沌としたイメージが強かった。特にこのクーロンシティーはその傾向における頂点を極めているといってもいいだろう。
 そんなけばけばしいネオンに照らされた街にニコライ達は降り立った。そこはパメラが降車したという地点である。
 何故かパメラがロスした1時間を差し引いて、15分前に彼女は降車したはずだった。まだパメラの温もりが残っていそうな無人タクシーの停車場には、酒に敗北を喫した(あるいはわざと負けるのを楽しんでいる)酔っ払い達が数人いるだけだ。ヨセフは即座に彼らにシア型ニューロノイドを見なかったか、と尋ねたが要領を得ない答えが返ってくるだけだった。酔っているのもあるが、本当に知らないのだろう。
「ダメです。ここらへんにいる連中はどいつもこいつも出来上がっていてまるで話になりません……どうしましょうか」
 言葉ほどにはさほど困った感じのないヨセフだった。ニコライはそれを受けて提案する。
「この街の繁華街のメインストリートにある高級飯店と、一般食堂が集う細い通りがいくつかあります。二手に分かれて聞き込みをしながら探すのがベターでしょうね。……クライスさんはどう思いますか?」
「異論はありません。ニコライさんは高級飯店でアノフェレス関連の資本が入った場所を回ってみれば何か情報を得られると思います。僕は裏通りを……ヨセフさんと回って、足取りを追ってみます」
 ちらりとリリスの様子を伺ったクライスだったが、リリスは依然としてそっぽを向いたままだった。
「では、そのように。いきましょうか、リリスさん」
 リリスはニコライの顔を一瞥すると、大人しく傍によっていく。クライスはそこで二人に背を向けようとしたニコライに声をかける。
「よろしくおねがいします、ニコライさん」
 肩越しに投げかけた主語と述語の抜けた言葉に、ニコライは帽子を掲げて応える。それだけで言いたいことは伝わったのだと、少年にはなんとなくわかったのだった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「何も、喧嘩をふっかけることはなかったのでは。もうちょっと穏便なやりかたがあったでしょうに」
 二人の姿が見えなくなった場所に来てから、ヨセフはクライスに言った。クライスは少年らしくない顔で、露骨すぎた演技がばれていたことにため息をつく。
「彼女は頑固な癖に鋭いですから。あれくらい極端にやらないとばれてしまいますよ」
「なるほど。よほど彼女のことを大切にしているのですね。……それが正しいか、どうかは私にはわかりませんが」
「そんなことは僕にもわかりません……それに、どちらかというとあれは彼女を危険から遠ざけたかったわけではありません」
 ゆるりと歩を進めながら、二人は人通りの激しい往来を抜けて人も疎らな細い路地に入る。そこでは項垂れた形で座り込み、ぼろ切れを身体にひっかけている乞食が数人いた。それはこの街のぎらついたまばゆいばかりの虚飾に塗れた光を覗いた先にいる、この街が持つ顔の一つだった。
 クライスの足元には割れた茶碗に入った一枚の硬貨を眺めている老人がいた。その老人を見つめるクライスは哀れむわけでもなく、蔑むわけでもない。ただ無表情のままである。
 この場所には全く不似合いな小奇麗なスーツを着ているヨセフ・ドローヴィチも落ち着いている。眉を顰めたくなるほどのすえた腐臭すら漂っているというのに、二人は平然としていた。
 数分も通りを歩いていると、クライスは気力の無い乞食達の中でも、元気のありそうな3人の群れている若者――今のところ酒と薬に溺れていない――を見つけて近づいていく。
 悠然と近づくものの存在に気付いた若者達は一瞬身構えるが、一瞥すると坊ちゃん然とした少年であることを見て、途端ににやにやしだす。
「おいおい、そこのガキ。こんな時間に歩いていちゃ危ないのにケツを掘られるぜ」
「おまえが一番危ないっての」
「違いない、ギャハハハハハッ!」
 何が可笑しいのかわからない、彼ら独特の下劣な笑いをクライスは聞き流して立ち止まる。
「ちょっとお尋ねしたいことが……女型ニューロノイドをこのへんで見かけませんでしたか?」
 まるで緊張の色も見せず、静かに質問をする少年に若者達は一瞬たじろぐ。顔つきに似合わず、場慣れした感がクライスにはあった。
「あん、シア型のニューロノイドのことなんてしらねぇよ……なぁ?」
 トサカ頭に鼻にピアスをした男は明らかに何かを匂わせる態度で、ニヤニヤと仲間達と顔を見合わせている。彼らはクライスの質問に真面目に取り合うつもりなどさらさらなかった。そのことを知ったクライスは言い返すこともなく、懐に手を入れる。
 何の予兆も警告もなく、乾いた音が響いた。――1発、2発、3発。その銃声同様、乾いた表情のクライスの右手には拳銃が硝煙をあげている。クライスは無言のままに引鉄を数回引いた。
 3人の若者達は脚を容赦なく撃ち抜かれていた。
「うぐっ、あっあっ……ぐぁぁあああああ!!」
 何が起きたのか理解できず、じたばたと転がり大袈裟なほどにうめき声をあげる若者達をクライスは脚をもがれた虫けらを見るように見下している。
「あれはどちらかというと……」
 背後でその様を止めることなく、黙って見ていたヨセフはクライスの言葉が目の前の若者達ではなく、自分に当てられていることに気付く。
「こんな僕を彼女に見られたくないっていう、羞恥心からやったことですよ」
 それは先ほど途切れた会話の続きであり、答えだった。廃棄街で育ったという少年が築き上げた本性を垣間見て、ヨセフは厄介で不器用だなと苦笑する。
「全く、スマートなやりかたではないですね。閉口ものですよ」」
 クライスは痛みに呻く若者の一人――ボウズ頭のやつを避けて、緑色に染めた男の髪を掴みあげ、銃口をつきつける。
「このやりかたしか、知りませんから」
 そういって微笑んだクライスの顔を見て、ヨセフはなんと年つきに似合わぬ寂しげな表情を知っているのだろうと思っていた。
「主人が貴方を気に入ったわけがわかりました。……貴方と主人はあまりにも似ている」
 ヨセフは目の端で僅かな抵抗を試みる緑色頭の若者を銃把で殴りつけるクライスを見てみぬふりをしている。もはやその様は見るに堪えないものだった。
「似ていますが、貴方のリリスさんに抱いている感情は重すぎるように見受けられます……そう、主人のそれが愛情なら、クライスさんのは……崇拝だ」
 ヨセフの指摘を受けて、クライスは初めて気付く。ついでのように殴りつけた男の前歯が一本あらぬ方向に飛んでいく。胸中に生まれた湧き出るように押さえられぬ感情の名前を、クライス・ベルンハーケンはこの時、初めて気付いたのだった。
「ああ、そうか。僕は当てられていたんだ。彼女の持つ光に、眩いばかりの輝きに。彼女に照らされて……そうか、そうだ。リリスを、僕は崇拝していたのか……!」
 あの日、出会った少女が背負っていたものの正体。まるで、人間の中に見出せなかった光を。クライスはニューロノイドの少女の中に感じていた。あるいはそれは、宗教を創始した者に出会った使徒達が持った歓喜でもあり、頼るべき何かを見つけた感動に似たものだったのかもしれない。
 興奮してクライスは何度も、何度も緑頭の顔を殴りつけた。リリスとの出会いが、まるで彼にとっての神との邂逅であったという事実にクライスは歓喜していた。
「クライスさん……クライスさん!!そのへんにしておきなさい。やりすぎです」
 振り上げたクライスの腕を掴み取り、エスカレートしはじめた行動をヨセフは制止する。クライスが気付けば、緑頭は息をしているものの、無残に顔が潰れて肉塊のようになっている。
「そこのお二人も、知っているのなら食べられる前に話したほうが身の為ですよ。彼は廃棄街育ちですから、嬉々としてそれをやるでしょうからね」
 このヨセフの脅しは効果てき面だったのはいうまでもなかった。とっくの昔に彼らの士気はくじけるどころかへし折れていたのだ。この悲惨な若者達にとっては、ニコライの言葉を脅されたというよりも、助け舟のように感じていた。
 先ほどまで恍惚としていたクライスは、己の掌に飛び散った血を眺め、ふと上り詰めた感情が波のように引いていくように、静かにぽつりと呟く。
「守らなければいけない。どんなことをしてでも、彼女のことを……」
 光の届かない路地裏でクライス・ベルンハーケンはくつくつと喉の奥で笑った。クライスはこの腐臭漂う場所で腹がきりきりと締め付けられるような緊張と、どこまでも未来のない怠惰を嘲った。
「ここは……リリスには似つかわしくない場所だ」
 クライスは陽光を浴びた服の匂いと、どんなものでさえ、求めるのであれば許容する安らぐようなリリスの眼差しを思い出して目を瞑った――全く、全くだ。汚らしい血を浴びるのは僕がやるべき仕事なのだ……!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ヨセフ・ドローヴィチから連絡が入ったのは停車場で分かれてから20分ほど経った時だった。リリスと高級飯店を回っていたニコライ・カラマーゾフは芳しい情報を得ることなく次の店に当たろうとしていた矢先のことである。
「はい、そこなら私達のほうが近いでしょうから。……ええ、急いで向かいますよ」
 携帯モジュール越しにヨセフと言葉を交わして、ニコライはリリスに頷く。ニコライはモジュールを持ったほうの腕をコートの脇に収めると同時にリリスのほうに向き直った。
「ヨセフ達はアノフェレスの重鎮が屯っているという場所を探り当てたようです。これはヨセフの仕事というより、クライスさんが成し遂げたことでしょうね。あまりにも早すぎる」
 ただし、相当荒っぽい手段を取ったであろうことはあえてニコライは口にしなかった。そしてクライスがリリスを遠ざけた理由もヨセフ同様、ニコライもほぼ正確に読み取っていた。
 しかしリリスにとってはクライス・ベルンハーケンが何故自分の傍にいるのかも得心のいっていない面があるのである。それは彼女に対するクライスが持つ感情の意図が、リリスにとっては未知の世界(人の狂気を孕んだもの)にある為だろう。
 ニコライはクライスの持つ豊富で複雑な感情をリリスに教えないほうがいいことも知っていた。この意地っ張りの少女がそれを知れば、火に油を注ぐように怒り狂うことは、短い付き合いの中でも予想できることだった。リリスは珠のように守られることを潔しとはしない。逆に自分の手の届く範囲で全ての者を守ろうとする懐の広さを持っているほどだ。
「パメラのいる場所がわかったのなら、急がなくちゃ」
 クライスという名前にはあえて反応しようとしないでリリスは急かす様に握りこぶしを体の前で振りながら言う。そのわかりやすい態度にニコライは常のように苦笑する
「ええ、その通りです。出来れば首謀者とパメラが再開する前に捕らえたいところですが……」
 止めた言葉の先に、言い知れぬ不安を覚え、ニコライは自然と早足になっている。そんなニコライより一回り体躯の小さいリリスは小走りになってついていった。
 闇夜を照らす人工の灯火の先で、パメラは何を思っているのだろうか。ニコライとリリスは街を多い尽くすような喧騒をかきわけて光の中を進んでいた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 満海楼という私の苦手な辛い料理を出す店がある。油の染みで白い壁の一部分が黒くなっているような古びた建物を裏口から抜けると、僅かばかりの開けた空間が存在している。片隅に店の食材を入れていたダンボールやら、生ゴミが置かれている以外は何もない場所だ。そこに現在、私は立っていた。
「ご苦労様、パメラ。こんな僕の為に苦労をかけたね」
「いいえ……そんなこと……。マスターの為になるのであれば、それに勝るものなど……私にはありませんから……」
 私の心は、まさしく天にも昇る気持ちの中にあった。彼からかけられる労いの言葉だけでも
今までの苦難や屈辱など塵芥のごとく吹き飛んでしまっていた。
 マスターの優しい眼差し、鼻腔、形のよい唇、すらりとした顎の線、妖艶な首筋、広い背中、何もかもが私の胸中に疼きのような甘い感覚を覚えてしまう。あまりにマスターから注がれる視線が眩しすぎて、目を合わせるだけでも心地の良い照れくささがあった。全てが私を魅了し、マスターの視界の中にいることだけでも幸運であると実感することができる。これからはそんな幸運をマスターの傍らで得ることができると思うと、それだけで私は過ぎたる喜びに死んでも構わないとすら思えた。
 マスターが一歩一歩近づく度に私の胸の鼓動が高鳴っていくのがわかる。息遣いすら感じられることの出来る距離にまでマスターは迫ってくる。
「ま、マスター!?そんなことされたら恥ずかしいです……」
 マスターが左手を私の腰に回し、右手を首筋に回して抱きすくめると、一気に自分の顔が赤くなるのがわかった。それだけでも恥ずかしさのあまり卒倒してしまいそうだったのに、気付けばマスターの顔が私の顔に近づいているではないか。
 青みがかった瞳をこんなに近くで見たのは初めてだった。なんて綺麗なのだろう。うっとりとするような時間に、これが辛苦を乗り越えた私に対する神様からのプレゼントなのだと信じて疑わなかった。
 ――あれ?
 マスターが強く首筋を押した時、突如奇妙な脱力感が私を襲った。
 私はただ立つことすら困難になり、脚の力が抜けてマスターによりかかる格好になっている。
「マスター……わたし……ちょっと疲れちゃったみたいです……ごめんなさい」
「いいんだ、パメラ。ゆっくりとお休み。……良い夢でも見るといい」
  ――ああ、私はなんて幸せものなんだろう……。
 温かいマスターの胸の中でちょっとしたご褒美に浸るようにして私は眠りに落ちていく……。ああ、いい匂いがする……とても……しあわ……せ……。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

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