我々は叫んだ。「光を!」と。
陽の光こそが生命の象徴であり、人がそれを求めることは必然であるといえる。
惹き付けられるように焦がれ、多くの同胞が、あの血も涙も感情もない無機物どものまえで散った。幾度も、幾度も。
我々、唯一の人類は悟らなければならない。人類は悪魔に狩られる立場だということを。
我々は語らなければならない。人種の垣根を取り去り、過去の諍いを水に流し、手を携えて生きていく道を。
我々は待たなければならない。時が満ちるときを。
故に私はここに宣言する。唯一の人類正統政府の発足を!!
(中略)
この地下世界には高みから見下ろす為の山もない、丘もない、人々を隔てる川もない。ただあるのは平等、広がる平等のみである!
例えこの人類始まって以来の共通の困難を前に私が倒れようとも、この瞬間に同胞となった諸君らが後から津波のように!!次々と!!途絶えることなく!!意志を継ぐであろう。
この日までどのような集団も、国も、世界も成し得なかった理想が私の目の前に生まれたのだから!
(中略)
この宣言をもってして、貴方も、そこの貴方も、君も、そして全ての人々よ。手を取り合い、互いの背中を守る日々が来たのだ!
――統一(GVW)政府誕生における人類代表宣言より
*****************************
ニュース代わりに世界観の一部を表現してみようという企画。最低全3回の予定。
第1回はGVW政府誕生の日、初代首相演説から。
まだ資源にも猶予があり、常に恐怖に晒されていたものの、まだ希望が残されていた時代。
ついに人類はひとつになった。
……だが、その理想世界も一時の夢幻だったのである。
ここから自らが蟻地獄にはまった蟻だと悟れぬ人類の苦悩が始まる。
「そして人々は神が与えたもうた裁きの雷に打たれ、煉獄へ閉じ込められたのだ!!」