ニコニコ動画のgoing onメドレー聴いてたら、またアトラク=ナクアやりたくなってきた。
三国志9にダブルキャスト。最近やりたいゲームは昔やったのばかりな罠。
今回は雷神家シリーズからゲストキャラ登場のシーン。
書いてから気付くが、このキャラ出してはいけなかったような気もするが。ま、いっか!(´∇`)
たぶんその8くらいで終わるはず。
クリックコメンツが復活してちょっと嬉しい(゚∀゚)
***************************
アガペ その1 その2 その3 その4
***************************
************************************
そして奇妙な話の種は我が家にもあった。
肉体労働を負えて家に帰れば、ひとまずシャワーを浴びて汗を流そうとする。すると、何故かいつもトイレに併設されたシャワー室は湿気っていて、水滴がまだ残っている。
「おい、フィリア。もうシャワー浴びたのか?」
「みるるが汚れたから洗った」
俺には十字傷を頬に持つ人形は相変わらず薄汚いままのように見えた。それに心なしか冷や汗を流しているような……人形が?――まさか。さすがに気のせいか。
フィリアの金色の髪は若干湿って重い色になっている。明らかにこざっぱりしているのはフィリアのほうだった。しかし、ニューロノイドがわざわざシャワーを浴びる理由がわからない。エステル用に買っていたメンテナンスポッドで充分に清潔は保てるはずだ。
俺はこのとき、疲れと汗を流したい一心で「ま、いっか」で済ませてしまった。
さっさと飯食って、眠って……それから、それから……。
◆◆◆◆◆
それから毎日のようにシャワー室は湿っていた。個人性格の関連付けで奇麗好きなのを引き当てたのだろうか。
フィリアの言い訳も毎日変化していた。けして彼女は自分がシャワーを浴びていたとは言わない。
終いにはネタが尽きたのか「シャワー室掃除してた」と言い出す始末だ。それにフィリアはいつもさっぱりしていたが、言い訳の種そのものは全く奇麗になっていない。
何をそんなに隠すことがあるというのだ。
謎は深まるばかりだった。
************************************
ついに俺が不参加の新しいシーズンが始まった。
俺は休日を見繕って、下位リーグの開幕戦を観戦しにいった。
いつもは前座である下位リーグ戦は客が疎らにしかいない時間帯なのに、開幕戦はさすがに人が多い。彼らの目当ては無論、トーナメントリーグ上位組がぶつかる夜の時間の試合だった。
普段は眠そうにビールサーバーを担いでいる売り子も、この日は気合が入っている。ちょっとした祭気分がスタジアムを覆っていた。
スタジアム中央には主流になりつつある複座形の新型機、神鋼製「近衛」とサイバーメック社製「オルドビス」が対峙していた。
試合は序盤から積極的な白兵戦で、近衛が持っていたライフルを捨てるパフォーマンスを見せると、オルドビスも乗って主武装を放り投げてからは素手の格闘勝負になったあたりから盛り上がっていた。
「……おいおい、蛇骨の奴。何やってるんだ」
近衛のガンナーである蛇骨は、昨季の成績――1勝56敗の内、1勝を俺に献上してくれた後輩ガンナーだった。実力はあるのだが、今日のように調子に乗って勝てる試合を落とすことが多く、下位リーグに留まっている。
外から見て――たぶん気付いたものは少ないが――近衛の脚部は変化の激しい動きで軋んで、揺れている。ここで格闘戦を挑むなど自滅行為だ。
恐らく、オルドビスのガンナーは冷静にそれを見抜いている。
――案の定、オルドビスは近衛と深く組み合わず、ローキックのようにして繰り出した蹴りで、集中的に近衛の脚部を潰しにかかっていた。
ついには過負荷で近衛は崩れ落ちた。
「調子に乗るなってあれほどいってやったのに。蛇骨は相変わらず馬鹿だねえ」
いつのまにか隣に座っていた、黒色コートにサングランスの見るからに怪しい女は呟いた。
「あれは過負荷も原因ですけど、整備不足もあるな。機械油が若干擦れる音がしてたし」
「なるほど、他人の試合はよく見てるもんだねぇ」
ん?どこかで聞いたことがある声だな。そう思い、よく隣の不信人物のほうを観察する。
「げ、雷神さん。こんなところで何してるんですか。滅茶苦茶目だってますよ」
不信人物の正体は神鋼が誇る最強のチャンピオン、雷神さんだった。猫のように気まぐれな問題児とされているが、実はそれなりに面倒見のいい人だった。俺もたまにメシをおごってもらったりしている。
いろんな意味で有名な人気ガンナーは変装しているつもりなのだろうが、その格好は露骨すぎた。周りも若干、こっちを指差してざわついていた。
雷神は周囲の事など気にも留めていない大物っぷりを発揮して話続ける。
「私はトリだからいいんだよ。ウィリーこそ、開幕戦にこんなところでぼけっと観戦して何やってんだ?」
「いや、俺は……」
「知ってる。アンタは蛇骨以上の大馬鹿やってるから、いつまでたってもウィーツーなんだよ」
反論のしようがなかった。マスクを通して聞こえるくぐもった声は、怒っているというより、呆れているようだった。
「たまにはトレーサードッグを覗いてみな。コアボディーだけとはいえ、たまに愛器に触れてないと声が聞こえなくなるからね」
上位ランカー独特の感覚があるが、雷神さんのそれは特にアクがある。この人はトレーサーの声が聞けるというのだろうか?
ただ確かに最近、トレーサーを収容している貸し倉庫に脚を運んでいなかった。
早速脚を運んでみるか――そう思った矢先、大きな声が背後から聞こえた。
「マスター!こんなところで何油売ってるのですか。試合準備があるのに逃げないでください!!」
気難しい顔をした短髪のニューロノイドの怒声で、訝しげにこちらの様子を伺っていた客も怪しい格好の人物が雷神だと確信を得たようで。あっというまに人気ガンナーは取り囲まれてしまった。
「バカ、クラリサ。こんなところで大声あげないでよ!」
「ごめんなさい~、でもマスターが悪いんですからね!!」
「ちょ、逃げ場が、あ、ウィリー。先輩を助けろーーー」
ごめんなさい。悲鳴をあげる雷神さんを尻目に、俺はスタジアムを後にしたのだった。
************************************